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研究室探検!「クローズアップ研究室」


慶應義塾大学

薬が細胞に運ばれるメカニズムを追究!

薬学部 薬剤学 中島研究室
中島 恵美(なかしま えみ)教授

専門は、薬物動態学。薬を安全かつ有効に個々の患者に適用し病気を癒すまでの過程を研究している。また、薬剤師の職能を拡大し、地域社会のリーダーとして国民の健康・福祉に貢献するための教育に力を注いでいる。「臨床調剤学」「くすりのトータルサポート」などの著書がある。


苦いのが嫌で、薬をオブラートに包んで飲んだ経験はないだろうか? 「確かに飲みやすくはなるでしょうがいけない場合もあります。なぜでしょう。薬の中には苦味の刺激で胃酸を分泌させるものがあるからです。まさに『良薬は口に苦し』ということなのです」

微笑みながらこう説明する中島教授の専門分野は「薬物動態学」。「吸収・分布・代謝・排泄……。飲んだ後の生体内における薬物処理のプロセスと、これらに関わる酵素や薬を体内に運ぶ役割をする『輸送担体』(トランスポーター)などを研究する分野です」。簡単にいうと薬が体内に入った後に、どのように変化していくかを調べる学問だ。「薬学の根幹をなす分野といってもよいでしょう」

その中でも中島教授が力を入れているのが、個別薬剤療法。いわゆるオーダーメードの薬剤療法の確立だ。「たとえば同じ大人でも、一人ひとり体重も違えば体質も異なっています。それなのに、同じ量を同じ間隔で同じ剤形の薬を投与してもよいのでしょうか。薬物動態学の観点から、一人ひとりの状態をきちんと見極めて処方する。それがオーダーメードなのです」

ゼミ生による「薬剤の微量分析」の様子ゼミ生による「薬剤の微量分析」の様子ゼミ生による「薬剤の微量分析」の様子ゼミ生による「薬剤の微量分析」の様子

特に最近注目しているのが、胎盤を中心に物質(薬)が生体膜をどのように透過するのか、『輸送担体』が関与するメカニズムの解明だ。「胎盤は赤ちゃんとお母さんの血液との接点。たとえば妊娠中は、胎盤を通じて薬の成分が成長途上の赤ちゃんに作用することがあるため、安易に服用することができません」。しかしこのメカニズムが判明すれば、投与の可能性も広がる。

先日、日本人で初の日本薬剤学会永井記念国際女性科学者賞を受賞した中島教授。一方でアジア薬科学連合の事務局長を務めるなど視野は常に世界へと向いている。「海外との共同研究の機会も多く、また、修士課程の学生は海外での学術発表を体験するので、英語での表現力も高まります。薬学部を目指す皆さんには、生命に関わる仕事を天職とすることのすばらしさを知っていただきたいと思います」